≪商店街の角の向こう≫

「あの角の向こうには何があるの」

私は商店街の角を指さして

父さんに聞いた

「さあー、何があるかな、

風船が飛んでいるかもしれないよ」

と父さんは私に言った

私は父さんの手を振り切って

商店街の角を目指して走った

父さんより先に風船が見たかったから

誰よりも先に風船が見たかったから

商店街の角を曲がったとき

私はたくさんの風船に囲まれていた

風船はいろんな色をしていて

とてもきれいだった

でも

風船は大きくてあまりにも大きくて

つかむことはできなかった

風船は遠くてあまりにも遠くて

さわることもできなかった

私は遠くの大きな風船が

1つ1つ空にとけこんで消えていくのを

いつまでも見ていた

父さんと一緒に

 

詩 : 天野恵美子

イラスト: 小林 豊